便秘防止に効果のあるスポーツは?
腸を動かすのは“腹筋”よりウォーキングなどの全身運動?
〇便秘とは?
便秘は「毎日出ないこと」だけではありません。一般には、排便が週3回未満、便が硬い・コロコロしている、強くいきむ、出し切れない感じがある、排便が難しいといった状態を含みます。排便回数には個人差があるため、回数だけでなく“気持ちよく出せているか”も大切です。(Brian E. et al, 2016)
〇便はどうやって運ばれる? 腸内運動のメカニズム
食べ物は消化・吸収された後、大腸へ送られます。大腸では水分が吸収されて便となり、「蠕動運動」などによって直腸へ運ばれます。特に食後は、胃に食べ物が入る刺激で大腸が動きやすくなる「胃結腸反射」が起こります。便が直腸に届くと便意が生じ、腹圧を高めながら骨盤底筋や肛門括約筋がゆるむことで排便につながります。
つまり排便には、①腸の動き ②便の硬さ ③便意を逃さない生活リズム ④腹圧と骨盤底筋の協調など、複数の要素が関わります。
〇便秘予防には「腹筋」より全身運動?
便秘予防には、ウォーキングなどの全身性の有酸素運動が取り入れやすい方法の一つです。便秘は腹筋の強さだけで決まるものではなく、身体活動量や腸の働き、食事・水分、排便習慣など、さまざまな要因が関係しています。
ウォーキングや気功などの運動によって便秘症状が改善する可能性があり、身体活動量が多い人ほど便秘になりにくい傾向も示されています。(Cui J et al., 2024)(Gao R et al., 2019)
そのため、便秘予防では腹筋運動だけに偏らず、ウォーキングなどの全身性有酸素運動を日常生活に取り入れることが大切です。
〇便秘予防に取り入れたい運動
1.ウォーキング
まずは10〜20分程度、会話ができる強さで歩きましょう。まとまった時間が難しければ、食後に5〜10分歩く、通勤で一駅分歩くなど、短時間に分けても構いません。
2.軽いジョギング・サイクリング・水中歩行
膝や腰に問題がなければ、息が弾む程度の有酸素運動も選択肢です。種目数よりも、無理なく継続して全身を動かせることが重要です。高強度運動は一部の人で腹部症状を誘発することがあるため、便秘予防目的なら軽〜中等度から始めます。
3.体幹をねじる運動・ヨガ
体幹の回旋や深い呼吸を伴う運動は、活動量を増やし、リラックスや排便姿勢の調整にもつながります。
〇便秘と関係する生活習慣
・運動不足や座りっぱなし
身体活動量が多い人ほど、便秘になりにくい傾向にあります。座っている時間を減らし、ウォーキングなどでこまめに身体を動かしましょう。(Cui J et al, 2024)
・食物繊維が不足している
食物繊維は便の量を増やし、水分を保持することで排便しやすい状態をつくります。摂取量が少ない人は、食生活を見直すことが便秘対策につながります。(Chang L et al, 2025)
例:もち麦、納豆、ごぼう、わかめ、キウイなど
・水分摂取が少ない
水分不足は便を硬くする要因になります。ただし、多く飲むほど改善するわけではなく、もともと摂取量が少ない人が不足分を補うことが重要です。
例:食事以外の飲み物から1日1.2〜1.5L程度
・便意を我慢する
便意を繰り返し我慢すると、排便のタイミングを逃しやすくなります。腸が動きやすい朝食後などに、トイレへ行く時間を確保することも大切です。
〇運動だけでなく、生活習慣をセットに
ウォーキングなどの全身運動は、便秘症状の改善に役立つ可能性があります。また、身体活動量が少ない人ほど便秘になりやすい傾向も報告されています。便秘予防には、日常的に身体を動かすことに加えて、食物繊維や水分を適切にとり、便意を我慢しないことが大切です。腹筋運動だけに偏らず、まずはウォーキングなどの全身性有酸素運動を無理なく続けることから始めましょう。
執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 関澤 凪
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック
