ピックルボールが「最強の脂肪燃焼スポーツ」と呼ばれる理由
~運動初心者でも心拍数が上がりやすい「中強度インターバルトレーニング」の効果~
近年、アメリカを中心に急速に人気を集めているスポーツが「ピックルボール」です。
テニス・卓球・バドミントンの要素を組み合わせた競技で、幅広い世代が楽しめることから日本でも注目されています。
「ラケットスポーツだから運動量は少なそう」と思われがちですが、実は脂肪燃焼や健康づくりに非常に優れた運動であることが分かってきています。
本コラムでは、ピックルボールが「最強の脂肪燃焼スポーツ」と呼ばれる理由を医学的な視点から解説します。
〇ピックルボールとは?
ピックルボールとは、バドミントンコートほどの広さで、専用ボールとパドルと呼ばれるラケットを使って行うスポーツです。テニスよりコートが小さいため、長距離を走り続けることは少ない一方、
- 前後左右への素早い移動
- 短いダッシュ
- 急停止
- 方向転換
を何度も繰り返します。
このような競技特性が、脂肪燃焼や心肺機能の向上につながる理由の一つです。
〇なぜ脂肪燃焼に優れているの?
ピックルボールでは、ラリー中に心拍数が上昇し、得点間には短時間の休憩を挟むという流れを繰り返します。このような運動は、「運動」と「短い休息」を繰り返すインターバルトレーニングに近い運動様式といえます。
インターバルトレーニングでは、
- 脂肪燃焼の促進
- 心肺機能の向上
- 血糖値の改善
- 持久力の向上
など、さまざまな健康効果が報告されています(Weston KS, et al., 2014)。
さらに、このような運動では、運動終了後もしばらくエネルギー消費量が高い状態が続く、「アフターバーン効果(EPOC:運動後過剰酸素消費)」が生じやすいことが知られています。そのため、運動後も通常より多くのエネルギーを消費しやすく、脂肪燃焼を後押しする可能性があると考えられています(Børsheim E, et al., 2003)。脂肪燃焼に優れているピックルボールですが、瞬間最大消費カロリーはバトミントンが優れているとされています。
同じラケットスポーツでも、
- テニス:コートが広く、瞬発力・全身持久力ともに高く求められる
- バドミントン:瞬間的な運動強度は非常に高く、ラケットスポーツの中でも消費カロリーは高い
- 卓球:反応速度や巧緻性が求められる一方、全身の移動量は比較的少ない
- ピックルボール:中等度の運動強度を比較的長時間維持しやすく、初心者でも続けやすい
という特徴があります。
運動強度が高すぎると運動初心者は継続が難しくなりやすいですが、ピックルボールは「少しきつい」と感じる程度の運動強度になりやすく、脂肪燃焼に適した心拍数を維持しやすいことも特徴です。
〇ピックルボールで期待できる健康効果
ピックルボールによる有酸素運動での効果は脂肪燃焼だけではありません。継続することで、
- 体脂肪減少
- 筋力維持
- 血圧改善
- 血糖コントロール改善
- 心肺機能向上
などが期待できます。また、ラケットスポーツは相手とのコミュニケーションが重要になるため、
- ストレス軽減
- 認知機能維持
- 運動習慣の継続
にもつながる可能性があり、近年では身体面だけでなく精神面への良い影響も注目されています(Caspersen CJ,et al)。
〇ピックルボールを始める際のポイント
安全に楽しむためには、次の点を意識しましょう。
- 準備運動を十分に行う
- 水分補給を忘れない
- 最初は30〜60分程度から始める
- 疲労を感じたら無理をしない
特に運動習慣がない方では、急に長時間プレーすると筋肉や関節を痛める原因になります。
少しずつ運動量を増やしていくことが大切です。
〇まとめ
ピックルボールは、短い運動と休息を繰り返す競技特性から、自然と中強度インターバルトレーニングに近い運動になります。その結果、脂肪燃焼や心肺機能向上、生活習慣病予防など、多くの健康効果が期待できます。また、初心者や高齢者でも始めやすく、「楽しみながら続けられる」ことも大きな魅力です。健康づくりで最も大切なのは、継続できる運動をみつけることです。「運動は苦手…」という方こそ、楽しみながら体を動かせるピックルボールを選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか。
執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 山下 暁
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック
