試合前に聴く音楽は
どんな効果があるのか
試合前に音楽を聴く選手は多くいます。実際に、試合前に好きな曲を聴くことで「緊張が和らぐ」「気持ちが落ち着く」「集中力が高まる」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。音楽には呼吸や心拍を整え、過度な不安や緊張を軽減する働きがあるとされており、試合前のコンディション調整の一つとして活用されています。また、周囲の雑音を遮断し、自分の世界に入り込むことで、試合へ意識を向けやすくなるという側面もあります。
しかし、試合前の音楽の効果は、単なる「リラックス」や「集中」だけではありません。今回はそこから一歩踏み込んで、"プラスアルファの効果"について考えてみたいと思います。
◯感情を一気に引き上げる力
一つ目は「感情を整える力」です。例えば、アップテンポの曲を聴けば自然と身体が軽くなり、心拍数も上がって臨戦態勢に入りやすくなります。逆に、落ち着いた曲であれば過度な緊張を和らげ、自分本来のパフォーマンスを発揮しやすくしてくれます。つまり音楽は、その日の自分の状態に合わせてテンションを調整できるリモコンのような存在です。ただし、曲によってはテンションが上がりすぎてアップで疲れてしまうので注意が必要です。
◯「うまくいった自分」を呼び起こす再生装置
二つ目は「成功体験の再生装置」としての役割です。過去に良いパフォーマンスを発揮できた試合前に聴いていた曲を流すと、そのときの感覚や自信が自然とよみがえってきます。これは単なる気のせいではなく、記憶と感情が結びついているからこそ起こる現象です。音楽をきっかけに「うまくいった自分」を再現できるのであれば、それは非常に心強い準備の一つになります。
◯「まあいいか」が生む、ちょうどいい余裕
三つ目が、少しユーモアですが意外と侮れない「謎の余裕」です。好きな曲を聴いていると、「まあ今日ダメでもいいか」とふっと肩の力が抜ける瞬間があります。一見ネガティブにも聞こえますが、この"開き直りに近い余裕"が、結果的にプレッシャーを軽減し、動きをスムーズにしてくれることがあります。力みすぎて本来の力を発揮できないよりも、少し遊び心があるくらいの方が良い結果につながることは少なくありません。
◯まとめ
このように、試合前の音楽は単なるリラックスや集中だけでなく、感情を高め、過去の成功を呼び起こし、さらには心に余白を生み出す役割も担っています。うまく使えば、音楽は自分のパフォーマンスを引き出す見えないサポーターになります。どんな曲を選ぶかは人それぞれですが、毎回同じ曲を聴くことをルーティーン化している選手も少なくありません。
執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 石塚 智規
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
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