サッカーやバスケットボールなどの球技では、「長く走れる持久力」と「一瞬で加速するスプリント力」の両方が求められ、勝敗を分ける大きな要因となります。
しかし、単に長い距離を走るだけでは、試合で必要な動きにはつながりにくく、一方で、スプリント練習だけでは終盤のパフォーマンス低下を防ぐことは難しいのが現実です。

だからこそ重要なのが、「持久力とスプリント力を切り離さずに鍛える」という視点です。
本コラムでは、最後まで走り切れる“試合体力”をつくるため、科学的根拠に基づいた実践的トレーニング方法をご紹介いたします。

〇持久力とスプリントは両立できる?

かつては、持久力とスプリント力の両者を同時に行うと効果が弱まる「干渉効果」が起こると考えられていました。
しかし近年の研究では、適切な方法で行えば持久力とスプリント力は十分に両立できることがわかっています。

その方法として、コンカレントトレーニング(Concurrent Training)が多く用いられています。

〇コンカレントトレーニングとは?

コンカレントトレーニングとは、持久力トレーニングと筋力・スプリントトレーニングを同一プログラム内に組み合わせるトレーニング構成の概念とされています。
以下のような運動を組み合わせて構成されます。

① 持久力系トレーニング

HIIT(高強度インターバルトレーニング)
4~5分程度のややきつい運動を3~6回繰り返す方法。
スタミナや走力を大きく改善させることが示されており、短時間でも高い効果が得られる。

LSD(長距離・低強度の持続走)
一定の低?中強度で長時間走り続ける方法。
スタミナの底上げに有効とされる。

テンポ走
試合で走り続けられるぎりぎりのスピードを持続する走法。
レースペースへの適応に効果的とされる。

② 筋力・スプリント系トレーニング

SIT(スプリントインターバルトレーニング)
全力に近い短時間のダッシュを繰り返す方法。
素早く力が発揮できるようになり、短時間で持久力向上への効果も報告されている。

ウェイトトレーニング(筋力・筋肉量の向上を目的とした負荷運動)

HIITやSITを組み合わせることで、短時間でも効率よく「走り負けない体」を作ることができるとされます。

〇コンカレントトレーニングの注意点

高頻度で行わない
週2~3回の高強度トレーニングが目安とされます。
やりすぎは疲労の蓄積につながるため注意が必要。

同日に行う場合は時間を空ける
持久力運動と筋力・スプリント運動を行う場合は、数時間の間隔を空けることで疲労の影響を減らし、トレーニング効果を維持できる。

休息をしっかりとる
筋肉や心肺機能は休息中に回復・強化される。
睡眠不足や疲労の蓄積は、スプリント能力・持久力の低下につながる。

〇まとめ

高強度インターバルトレーニングやスプリント運動をうまく組み合わせることで、短時間でも効率よく「走り負けない体」を作ることができます。
大切なのは、「長く走る」「速く走る」のどちらかだけではなく、両方をバランスよく取り入れることです。

執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 山下 暁
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック