春になると、「ケガをしているわけではないのに動きが重い」「フォームが安定しない」「なぜか集中できない」と感じる人が増えます。
その原因の一つとして見落とされやすいのが花粉症です。花粉症は単なる鼻や目の症状と思われがちですが、実は呼吸や睡眠にも影響し、知らないうちに身体の動きに影響を与えている可能性があります。

〇鼻づまりと睡眠不足が春のフォームを乱す

花粉症による鼻づまりは口呼吸を招き、呼吸を浅くします。これにより首や胸の筋肉が過剰に働き、姿勢の崩れや体幹の不安定性を引き起こし、フォームの乱れにつながります。さらに、鼻閉は睡眠の質を低下させ、回復不足や神経系の働きの低下を招きます。

こうした呼吸の乱れと睡眠不足が重なることで、動作の再現性やバランス制御が低下し、代償動作が起こりやすくなります。その結果、パフォーマンスの低下やケガのリスク増加につながります。

〇スポーツ中、花粉症はどのような場面で影響を及ぼすのか

花粉症による呼吸や睡眠の乱れは、特に呼吸効率や動作の再現性が重要なスポーツで影響が出やすいと考えられます。例えば、ランニングやマラソンなどの持久系スポーツでは、呼吸効率の低下がそのままパフォーマンス低下につながり、姿勢や腕振りの乱れからフォームが崩れることがあります。また、サッカー・テニス・野球などの反応系スポーツでは、睡眠不足による集中力や反応速度の低下がプレー精度に影響する可能性があります。さらに、水泳や自転車競技のように呼吸リズムや姿勢が重要な競技でも、呼吸の浅さや胸郭の硬さが動作効率の低下につながることがあります。

〇花粉による鼻詰まりを改善させるエクササイズ

花粉症による鼻づまりを一時的に改善する方法として、呼吸を利用したエクササイズが知られています。その一つが「ブレスホールド法(息止め呼吸法)」です。息を吐いた後に数十秒間呼吸を止めることで体内の二酸化炭素(CO2)が上昇し、鼻粘膜の血管反応が変化することで鼻の通りが改善することがあります。研究でも、息止めや運動によって鼻腔抵抗が低下し、鼻通りが改善する可能性が報告されています。

手順

  • ① 椅子に座り、口を閉じてリラックスする
  • ② 鼻で軽く息を吸って吐く
  • ③ 息を吐いたあと鼻をつまみ、20~30秒ほど息を止める
  • ④ 苦しくなる前に鼻を離し、ゆっくり鼻呼吸に戻る
  • ⑤ 30秒ほど休み、2~3回繰り返す

この方法は鼻づまりを一時的に和らげる可能性がありますが、根本的な治療ではないため無理のない範囲で行うことが大切です。
また、他にも鼻通りの改善に役立つ可能性がある方法として、軽い有酸素運動や、ヨガで行われる交互鼻呼吸があります。

〇まとめ

花粉症は鼻や目の症状だけでなく、鼻づまりによる呼吸の浅さや睡眠の質の低下を通して、姿勢や体幹の安定性、集中力に影響を与える可能性があります。
対策としては、鼻づまりを一時的に改善する呼吸エクササイズ(ブレスホールド法)や、軽い有酸素運動、ヨガの交互鼻呼吸などによって鼻通りや呼吸を整える方法がありますが、これらはあくまで補助的な方法であり、根本的には花粉症そのものの治療を行うことも重要です。
抗アレルギー薬の使用や医療機関での適切な治療によって症状をコントロールしながら、呼吸や睡眠の質を整えることが、春のコンディション維持やパフォーマンス低下の予防につながります。

執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 石塚 智規
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック