シニアゴルファー向け・
安全に飛距離を伸ばすには?
「昔はもっと飛んでいたのに、最近はドライバーの飛距離が落ちてきた……」
ゴルフを長く続けている方なら、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
飛距離には、クラブヘッドスピード、ボール初速、ミート率、打ち出し角度、スピン量など、さまざまな要素が関係します。その中でも、身体の使い方と深く関係するのがクラブヘッドスピードです。
クラブヘッドスピードは下肢・上肢の筋力だけでなく、ジャンプ能力やパワーなど、「素早く力を発揮する能力」とも関連することが報告されています。(Brennan et al. 2024)
飛距離を伸ばすためには「筋力をつける」だけではなく、身体を効率よく動かし、発揮した力をスイングにつなげることが重要です。
〇年齢とともに変化する身体機能
年齢を重ねると、筋力やパワー、関節の可動性、バランス能力など、さまざまな身体機能が変化します。特に筋力だけでなく、素早く力を発揮する「パワー」は、加齢による影響を受けやすい能力の一つです。
一方で、「年齢を重ねたら飛距離は伸ばせない」というわけではありません。大切なのは、年齢に合わせて「今の身体に何が必要なのか」を見直すことです。
〇理学療法士が注目する3つのポイント
飛距離アップのために身体のどこを見れば良いでしょうか。
①股関節の柔軟性とパワー ②下半身、体幹のパワー ③胸郭の柔軟性に注目します。
①股関節
ゴルフスイングでは、股関節を使った体重移動や回旋が重要になります。股関節の可動性が低下すると、スイング中の動きを他の部位で補う必要が生じる可能性があります。そのため、股関節が「必要な方向に動くか」を確認することが大切です。
②下半身、体幹のパワー
スイングでは、下半身から体幹、上半身へと力を伝えていきます。
そのため、下肢筋力やパワー、体幹を安定させる能力を高めることも重要です。特にスクワットやスプリットスクワットなどは、下半身の筋力だけでなく、身体を安定させながら力を発揮する能力の向上にもつながります。
③胸郭の柔軟性
ゴルフでは身体を回旋させる動作が多いため、胸郭周囲の動きも重要です。ただし、「胸郭が柔らかければ飛距離が伸びる」と単純に考えるのではなく、必要な可動性を確保したうえで、その範囲内で力を発揮できることがポイントです。
〇飛距離アップのためのトレーニング
・クラムシェル
目的:股関節外旋筋の筋力向上・股関節の可動域向上
方法:
① 横向きに寝て、股関節と膝を軽く曲げる。
② 両足を重ねた状態で、かかとを合わせる。
③ 骨盤を動かさないようにしながら、上側の膝をゆっくり開く。
④ ゆっくり元の位置に戻す。

回数:左右10回 × 2セット
ポイント:
・膝を開く際に、骨盤が後ろへ倒れないようにする。
・股関節の付け根から動かすことを意識する。
・反動を使わず、ゆっくりと動かす。
・お尻の外側に力が入っていることを意識する。
・サイドランジツイスト
目的:下半身の筋力・胸郭の回旋可動性向上
方法:
① 足幅を広めにとり、両腕を胸の前で交差させて構える。
② 片側へ体重を移動し、体重をかけた側の股関節と膝を曲げる。
③ 下半身の姿勢を保ちながら、両腕を胸の前で交差させたまま、上半身をゆっくり回旋する。
④ 左右交互に行う。

回数:左右10回ずつ
ポイント:
・お尻を後ろに引くようにすると、股関節を使いやすくなる。
・膝が内側や外側に崩れないよう、つま先と膝の向きをそろえる。
・腰を無理に捻るのではなく、胸郭から回旋することを意識する。
〇まとめ
シニアゴルファーの飛距離アップでは、単に「強く振る」のではなく、身体を動かしやすく整え、下半身・体幹の筋力やパワーを高め、その力をスイングへ効率よくつなげることが重要です。年齢とともに身体機能は変化しますが、今の身体に合わせて動きやトレーニングを見直し、飛距離と健康の両立を目指しましょう。
執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 石塚 智規
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック