成長期アスリートに多い“骨端線障害”を防ぐ方法

~痛みを見逃さない!親子で知っておきたいセルフケアと予防法~

「練習が終わると膝が痛い…」
「かかとが痛いけど、試合には出たい。」
成長期のお子さんから、このような訴えを聞いたことはありませんか?
「少し休めば良くなるから」「成長痛だろう」と様子を見てしまうことも少なくありません。しかし、その痛みは成長期特有の骨端線障害のサインかもしれません。
成長期は骨がまだ成熟しておらず、大人とは異なるケガが起こりやすい時期です。早めに気づき適切に対応することで、スポーツを長く続けられる可能性が高まります。
今回は、骨端線障害の特徴と、ご家庭で今日からできるセルフケア・予防法をご紹介します。

〇骨端線障害とは

成長期の子どもの骨には、「成長軟骨」と呼ばれる、骨が成長するためのやわらかい部分があります。なかでも「骨端線(こったんせん)」は、骨の端に近い部分に存在し、骨が縦に成長するうえで重要な役割を担っています。成長期の骨端線は、大人の成熟した骨に比べて繰り返しの負荷に影響を受けやすく、ジャンプやダッシュなどの動作を繰り返すことで、痛みや障害が生じることがあります。本コラムでは、このような成長期の骨端線に生じる障害を「骨端線障害」として紹介します。

〇こんな様子はありませんか?

  • 運動中や運動後に痛みを訴える
  • 同じ場所を押すと痛がる
  • 練習を休むと痛みが軽くなるが、再開するとまた痛む
  • 同じ場所の痛みが1~2週間以上続いている
  • 痛みをかばって走り方やフォームが変わっている

成長期の痛みには、骨端線障害だけでなく骨折や靱帯損傷などが隠れていることもあります。痛みが続く場合や、運動中・日常生活で痛みが出る場合は、自己判断で「成長痛」とせず、まず整形外科を受診しましょう。

〇今日からできるセルフケア

骨端線障害を予防するためには、ストレッチだけでなく、日頃から身体への負担を減らすことも大切です。成長期は骨が十分に成熟していないため、疲労が蓄積した状態で運動を続けると、骨端線や骨端核へ繰り返し負担がかかりやすくなります。毎日の練習の中で、次のポイントを意識してみましょう。

~日頃から意識したいポイント~

  • 痛みを我慢して運動を続けないようにしましょう。
    痛みは身体からのサインです。無理をすると症状が悪化し、回復まで時間がかかることがあります。
  • 練習量や運動時間を調整し、疲労をためすぎないようにしましょう。
    同じ動作の繰り返しは成長軟骨への負担を増やすため、適度な休息を取り入れることが大切です。
  • 十分な睡眠と休養をとり、身体の回復を促しましょう。
    睡眠中は身体の修復や成長が行われるため、疲労回復には欠かせません。
  • 運動前は十分にウォーミングアップを行い、運動後はストレッチで柔軟性を保ちましょう。
    身体を動かしやすい状態に整え、筋肉の柔軟性を維持することで、運動時の負担軽減につながります。

(McLeodら, 2011;DiFioriら, 2014)

・セルフケアストレッチ

セルフケアストレッチ ①太ももの前 ②ももうら ③ふくらはぎ

① 太ももの前を伸ばす
目的:太ももの前の柔軟性を保ち、膝への負担を軽減します。
方法:片足を後ろで持ち、太ももの前が伸びる位置で30秒キープします。
回数:左右それぞれ30秒 × 2~4回
注意点:腰を反らしすぎないようにしましょう。

② ももうらを伸ばす(ジャックナイフストレッチ)
目的:ももうらの柔軟性を保ち、膝や股関節への負担を軽減します。
方法:しゃがんで両足首をつかみ、手を離さずに膝をゆっくり伸ばして30秒キープします。
回数:30秒 × 2~4回
注意点:膝を無理に伸ばし切らず、痛みのない範囲で行いましょう。

③ ふくらはぎを伸ばす(アキレス腱ストレッチ)
目的:ふくらはぎの柔軟性を保ち、足部やかかとへの負担を軽減します。
方法:後ろ足の膝を伸ばし、かかとを床につけたまま体を前へ移動し30秒キープします。
回数:左右それぞれ30秒 × 2~4回
注意点:かかとが床から浮かないようにしましょう。

〇まとめ

成長期は骨が大きく成長する一方で、骨端線や骨端は繰り返しの負荷に弱い時期です。そのため、「少し痛いだけ」「成長痛だから大丈夫」と痛みを見過ごしてしまうと、症状が長引いたり、スポーツを休まなければならなくなることもあります。
日頃からウォーミングアップやストレッチ、適切な休養を習慣にし、お子さんの「いつもと違う痛み」に早めに気づいてあげることが大切です。痛みが続く場合は無理をせず、整形外科を受診しましょう。適切なケアを行うことで、お子さんが安心してスポーツを続けられる環境づくりにつながります。

執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 関澤 凪
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック