ボールに追いつく瞬発力!
サッカー専用リアクショントレ
一瞬の判断の遅れと動きが、相手の得点につながるだけでなく、得点機会を逃したり、ケガにつながったりすることがあります。そのため、サッカーにおける「反応の速さ」は重要な能力です。
本コラムでは、サッカーにおける「リアクション」について、用語の意味やトレーニングを解説していきます。
〇サッカーにおける「リアクション」とは?
サッカーにおいてリアクションとは、戦術(リアクションサッカー)という意味もありますが、今回は個人の身体の反応の速さ(リアクションスピード、アジリティ)という意味で話を進めていきます。
近年、この「反応の速さ」は、切り返しや踏み出しといった身体的な敏捷性(アジリティ)だけでなく、状況を素早く察知し判断する認知・知覚的な要素が組み合わさることで成り立つ能力と考えられています。
Sheppard & Young(2006)は、アジリティを「刺激に反応して素早く方向転換や速度変化を伴う全身運動を行う能力」と定義しました。
Bogatajら(2020)が14〜19歳のサッカー選手75名を対象に行った調査では、エリート選手ほど相手選手への反応が速く、単純な光刺激への反応だけでは競技レベルを判別できないことが報告されています。また、Thieschäfer & Büsch(2022)による青少年のアジリティに関するシステマティックレビューでは、アジリティは思春期でトレーニングが可能であり、年齢が上がるにつれて身体的要素よりも知覚・認知的要素との関連が強まることが示されています。
つまり、「予測できない状況でどれだけ速く判断し、身体が反応できるか」がリアクション能力を高める鍵となります。
こうしたトレーニングは、成長期の選手のパフォーマンス向上だけでなく、とっさの場面での身体への負担を減らし、ケガの予防にもつながる重要な要素といえます。
〇リアクションとケガ予防の関係性
また、リアクション動作を高めることでケガ予防につながります。
サッカーの切り返しや減速動作は予測できない場面で起こることが多く、そのぶん膝関節への負担も大きくなります。Swanikら(2007)がNCAA選手を対象に行った調査では、非接触型の膝前十字靭帯(ACL)損傷を負った選手は、受傷前の反応時間や処理速度が健常な選手より有意に遅かったことが報告されています。判断と身体反応の連動の遅れが、とっさの場面での膝の負担増加、ケガつながる可能性があると考えられます。
〇サッカー専用リアクショントレーニングとは?
以上より、サッカーに必要な反応トレーニングは単なる反復練習によるスピード強化だけでなく、予測できない刺激に素早く反応し、判断と動きを連動させる神経筋機能を高めることが、パフォーマンス向上とケガ予防の両方に重要とされています。
そこで今回は、反応判断力を鍛えるトレーニングを2つご紹介します。
〇まとめ
サッカーに必要なのは、単に反復練習で足を速くすることではありません。ボールへの反応が遅い、ここぞという場面で一歩が出ない場合、それは単純な身体能力の問題だけでなく、神経系と身体の連携が関係しているかもしれません。サッカーのリアクショントレーニングでは、単純な「速く走る」ではなく「素早く判断し、瞬時に動ける身体の機能を作る」ことが大切です。
執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 中山 みのり
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック