部活動に所属した経験がある人なら、一度は「外周」を走ったことがあるのではないでしょうか。試合前、練習の始まりなど、体力づくりの基本とされている外周走ですが、本当に競技中の「動ける体力」を高めているのでしょうか。
本コラムでは、外周走の生理学的効果と競技特性の関係について、科学的根拠をもとにご紹介します。

〇外周走ってなに?

外周走は、一定のペースを維持して行う有酸素トレーニングであり、全身持久力の基盤を形成するトレーニングです。
有酸素運動を続けると、筋肉の中では以下のような変化が起こります。

  • エネルギーを産生するミトコンドリアが増加する(約1.6倍)
  • エネルギー産生に関わる酵素が働きやすくなる(約2倍)
  • 酸素を使ってエネルギーを作る能力が高まり、疲労物質がたまりにくくなる

上記により、エネルギーが作成しやすく、疲労の原因物質もたまりづらくなり、より長く楽に動ける体へと変わっていきます。
ただし、負荷の軽い運動ではこの変化は起きにくいため、息が上がる程度の運動を継続することが大切です。

〇外周が効果を発揮しやすい競技

有酸素トレーニングが効果的な競技として、中長距離走やクロスカントリー、一定のペースで動き続ける持久力系競技があげられます。

  • ①酸素を取り込む能力(心肺機能)
  • ②疲れにくさ(有酸素能)
  • ③一定出力を維持する力(筋持久力)

上記の能力がパフォーマンスを左右します。
そのため、一定負荷で走る外周走は効果的なトレーニングと考えられます。

〇外周が効果を発揮しにくい競技

一方で、サッカーやバスケットボールなどの球技では、外周走は効果が限定的であると考えられます。これらの競技特性として、

  • ①ダッシュと停止を繰り返すストップ&ゴー動作
  • ②瞬発的な動きを要する(1試合に150~250回程度)
  • ③主な疲労要因は、筋肉内のエネルギー(糖)の枯渇

があげられます。
試合を通して動き続けられるような持久力も重要となるため、「外周走」のような有酸素トレーニングも必要となります。
しかし、競技特性やポジション、個人差を考慮した、より競技特異的なトレーニングを取捨選択し、実戦に直結する形で持久力を高めていくことも大切となります。

〇外周走で培った体力は将来に生きるのか?

競技力への直接的効果は限定的であっても、若年期の体力づくりは将来に有効であると考えられます。
18歳頃の体力が高い人ほど、死亡率や心臓病、がんのリスクが低いとされています。
そのため、若年期の体力づくりは、将来の健康を守るための大切な投資となるのです。

〇まとめ

外周走は、すべての競技でパフォーマンス向上につながるトレーニングではありません。
しかし、その効果が発揮される条件を理解し、目的に応じて位置づけることで、より良いトレーニングにつながると考えられます。

執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 山下 暁
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック