お子さんが「膝が痛い」と訴えた場合、成長期によくみられる「成長痛」や「オスグッド病」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
どちらも成長期の子どもに多い膝の痛みですが、原因が異なるため対処法も異なってきます。
そのため、今回は成長痛とオスグッドの違いや、簡単な鑑別方法、ケアについて紹介していきます。

〇成長痛とオスグッドの特徴

・成長痛(夜間下肢痛)

成長痛(growing pains)とは、2〜12歳の成長期でみられる良性の四肢痛(深刻な原因がない手足の痛み)のことを言います。
主に足に痛みが生じますが、手にも痛みが出ることがあります。

成長痛のお子さんに出やすい特徴として
・数日~数週間にかけて夜に痛みが出て、朝には治まる
・忙しい日に痛みが強く感じられる
・痛みが移動する傾向があり、膝・脛、両足に出現することがある
・関節の腫れ・圧痛がなく、日中は普段通りの活動ができる
があげられます。

・オスグッド

一方、オスグッド病(正式にはオスグッド・シュラッター病)は、膝のお皿の下にある出っ張り、「脛骨粗面(けいこつそめん)」という骨の部分が筋肉に引っ張られ、筋肉の付着部である脛骨粗面に炎症が起こることで痛みが出ます。
サッカーやバスケットボールなど、ジャンプやダッシュを繰り返すことで、太ももの前の筋肉に脛骨の端が引っ張られる過負荷が大きく関わってきます。

・運動中・運動後に膝下に痛みがでる(おもに膝を曲げる動作)
・膝下にポコッと出っ張りが大きくなっている(粗面隆起)
・粗面隆起を押すと痛い
こちらのチェック方法はあくまでもそれぞれの疾患の特徴になります。自己判断での特定は難しく、他の膝の疾患と症状が似ていることもあります。痛みが長引く場合や、歩く・走るのが困難なほど痛む場合は、整形外科などの専門機関を受診することをおすすめします。

〇ケアのポイント

・成長痛

成長痛の要因は一つではなく、複数の要因が関係しているため、ケアも様々な方法があります。

・ご家族による軽いストレッチやマッサージで筋肉を緩める
・お子さんがリラックスできる環境を整える(心理面)
・運動の頻度や負荷の調整(疲労感)

・オスグッド

痛みのある時期は練習量を調整し、太ももの前側(大腿四頭筋)のストレッチを運動の後や就寝前に行うことが大切です。

20秒 × 3セット

カラタッチ 台衿付きポロシャツ ADMA533 ただし、痛みがある場合は無理に実施せず、真ん中の写真でストップしてストレッチを行っていくようにしましょう。

〇まとめ

成長期の膝の痛みは多くの子どもに起こりますが、今回紹介した「成長痛」や「オスグッド」だけでなく、いろいろな原因があり、対処法はさまざまです。
痛みを早めにケアをしていくことは、今の痛みを軽減させるだけでなく、将来も運動を続けるために重要になってきます。
もし痛みが続く、膝の形が変わってきた、運動時に強く痛むなどの様子がある場合は、自己判断せずに医療機関での診察を受けましょう。

執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 中山 みのり
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック