試合に向けてせっかく頑張ってきた練習も、本番中にエネルギー不足や、疲れて足が止まってしまう…というのはとても残念なことです。
では、どうすればよいのでしょうか? 実は練習と同じくらい食事から、身体のコンディションを整えることが非常に大切なのです。
本コラムでは、試合中に自分のプレーが発揮できるために、試合前に避けるべき食品食べるべき食品について紹介していきたいと思います。

〇運動をする際に大事な「グリコーゲン」と「たんぱく質」

・エネルギーとなる「グリコーゲン」

体内で蓄えることのできる「グリコーゲン」は運動するときにエネルギーとして使われます。
瞬発的な運動や、持久的な運動でもグリコーゲンをエネルギーとして使います。
そのため、試合前の食事でグリコーゲンの貯蔵量をいかに体内で増やしておくかが、試合中にエネルギーを維持して動けるかにつながってきます。

・筋肉の回復を助ける「たんぱく質」

運動で筋肉が分解された時の筋肉の回復や、炭水化物のエネルギーが不足した場合には「たんぱく質」が欠かせません。

〇【試合前日】食べるべき食品

  • 炭水化物(ごはん・うどん)
    グリコーゲンのもととなる糖質を多く含み、体を動かすエネルギー源になります。
    〇摂取の目安:
    ・試合が90分未満 → 体重1kgあたり7~12g
    ・試合が90分以上 → 体重1kgあたり10~12g
  • たんぱく質(鶏むね肉・白身魚・卵・豆腐)
    脂質を抑えて調理するのがポイント。焼く・蒸す・茹でるなどで消化を良くします。
    〇摂取の目安:
    ・筋力・瞬発系の競技 → 体重1kgあたり1.7~1.8g/日
    ・持久系の競技    → 体重1kgあたり1.2~1.4g/日

〇【試合当日】「エネルギーを使う日」

当日は、胃を空っぽにした状態でエネルギーを満タンにしておくことが大事になってきます。

  • 朝食(試合3~4時間前)
    おにぎり2個、卵焼き、バナナ、味噌汁など。消化が良い糖質とたんぱく質をとっていきます。
  • 試合1~2時間前
    エネルギーゼリーなど。固形物ではないものでエネルギーを補給していきます。
  • 水分補給
    試合前・試合中に適切な水分補給を行うことは、パフォーマンスや体温が上がりすぎる、脱水、熱中症を防ぐ上で重要です。
    試合中は体重の減少が2%を超えないように水分を摂取していく必要があります。

〇試合前に避けたい食品

試合前に避けたいのは、消化に時間がかかる食品血糖値の変動が大きい食品です。

  • 脂質が多い食品(揚げ物・ラーメン・ピザなど)
    脂質は消化が遅く、胃に負担がかかります。体が重く感じたり、運動開始時の動きが鈍くなったりすることもあります。
  • 甘いお菓子やジュース類
    一時的に元気が出たように感じても、血糖値が急降下して集中力が落ちる原因になります。
  • 初めて食べるもの
    慣れていない食品は、消化不良を起こすリスクがあります。試合前は「いつもの安心できる食事」が基本です。

〇まとめ

普段の練習のパフォーマンスを引き出すためには、食事・水分を意識してとることがとても重要になってきます。
今回の内容をぜひ、試合前に実践してみてはいかがでしょうか。

執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 中山 みのり

監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック