癖になる足関節捻挫をどうしたら予防できる!?
「足関節捻挫」は代表的なスポーツ外傷とされ、最も発生頻度が高い足関節外傷とされています。
また、捻挫は一度受傷してしまうと癖になりやすく、同じ部位の捻挫を繰り返してしまった方も多いのではないでしょうか?
本コラムでは、「足関節捻挫」の病態やリスクをはじめ、再発予防のために重要な運動についてご紹介いたします。
〇足関節捻挫とは何?
代表的な「足関節内反捻挫」は、足関節を強制的に内側に捻ることで外側の靭帯が伸長・損傷されて受傷します。
損傷されてしまう組織として、「前距腓靭帯」「後距腓靭帯」「踵腓靭帯」「前下脛腓靭帯」があげられます。
受傷後には腫脹や熱感・疼痛などの炎症症状、関節可動域制限・筋力低下・バランス機能低下が引き起こされます。
また捻挫を繰り返すことで将来の変形性足関節症や偏平足の助長につながってしまいます。
〇なぜ一度受傷すると癖になってしまうの?
「捻挫くらい大したことがない」と思われがちですが、実は適切な治療やリハビリを行わないと再捻挫のリスクが高くなってしまいます。
その原因として、足関節の安定性は周囲の靭帯・筋肉で構成されています。しかし、捻挫をすることで以下のような影響が生じます。
- 靭帯が損傷・伸長され関節の固定力が弱まり、足首がグラグラしてしまう
→無意識に捻挫を繰り返してしまう - 靭帯にある足首の位置や動きを脳に伝えるセンサー(固有受容覚)がダメージを受け、脳への情報伝達が鈍くなる
→バランスを崩しそうになった際にとっさに足首を立て直す反射的な反応が遅れてしまう(Xiao'ao Xueら,2020)
これらの影響から、一度捻挫をしてしまうと癖がつき、再捻挫のリスクが高くなってしまいます。
〇どうしたら予防できる?
足関節の安定性に重要な足関節周囲の筋力を鍛えましょう!
ここでは重要となる筋力トレーニングの方法をご紹介します。
①足部の内在筋や下肢の筋力を鍛えることで、足部のアーチ維持や地面を捉える力・足関節の安定性向上をはかる
足趾エクササイズ(タオルギャザー)
方法:足趾でタオルを握りこむようにつかみ引き寄せていく
回数:30回 朝・昼・夜で1セットずつ
※膝の屈伸運動は行わず、指全体を動かして引き寄せる
腓骨筋エクササイズ
方法:タオルを足に巻き、足首を外側に反らすように動かす
回数:20回 × 3回で1セット 朝・昼・夜で3セットずつ
※痛みが伴わない範囲で行いましょう
② 動きの中で足部をコントロールする機能を再学習する
ランジエクササイズ
方法:前方に足を踏み出し膝・股関節を曲げる
回数:両脚交互に20回 × 3回で1セット 朝・昼・夜で3セットずつ
※母指球に体重を乗せ、膝関節と足関節の向きが一直線上になるように
〇まとめ
足部は唯一地面と接している場所になります。
この足部がグラグラしてしまうと足関節だけでなく、膝関節や股関節の痛み誘発につながってしまうこともあります。
また、足関節が不安定な状態では思うようなパフォーマンス発揮にもつながりません。
筋力トレーニングを行い、捻挫のしにくい足関節を作っていきましょう。
※足関節の外側が腫れている場合・痛みを伴う場合は一度医療機関の受診をおすすめします。
執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 山下 暁
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック