皆さんは、アスリートや運動愛好家が取り入れている「冷水浴」をご存知でしょうか?トレーニング後、たっぷり氷が入った水風呂に浸かる冷水浴には、一体どのような効果があるのか...
今回は、運動後の冷水浴について説明していきます。
〇冷水浴の効果
冷水浴は「疲労回復」のコンディショニング方法として知られています。特に以下のような場面で効果を発揮します。
・筋肉痛の軽減
ハードなトレーニング後に冷水浴を行うことで、主観的な筋肉痛を和らげてくれるという報告があります。
・炎症の抑制
運動後すぐに冷水浴を実施すると、24~72時間後の炎症マーカー(血液中の指標)が低下したという報告。体内の回復プロセスが円滑に行える可能性があります。
・体温調整
暑い環境下では、冷水浴によって過度な体温や皮膚温上昇を防ぎ、熱中症予防やパフォーマンスの低下防止にもつながるとされています。
〇効果的な冷水浴の方法は?
・タイミング:運動後すぐ(できるだけ早く)
・温度:11~15℃
・時間:最大10~15分(初心者は2~3分から慣らしていく)
Mochado(2016)らは11~15℃の温度帯がもっとも効果的だったと報告しています。逆に、10℃以下になると回復効果が低下することもあるため注意が必要です。
〇冷水シャワーも効果的!
冷水浴の効果を示しましたが、自宅で簡単にできる方法として冷水シャワーがあります。冷水シャワーも筋肉痛軽減の効果が期待できるので、冷水浴と同じ方法で、ぜひ試してみてください。
〇冷水浴が向かない場面も
冷水浴には万能ではない側面もあります。以下のようなケースでは、効果が期待できない、あるいは逆効果になることもあります。
・筋肥大や筋力アップを目的とする場合
トレーニング後に筋肉を冷やすと、血流が低下し、筋肉の成長(筋肥大)や筋力向上が妨げられる可能性があります。筋肉を大きくしたい方はトレーニング後、毎回の冷水浴は避けた方がよいかもしれません。
・ケガの回復期(数日後以降)
炎症を抑えることが回復の妨げになるケースもあります。とくに数日後以降は、冷水浴により血流が悪くなることで怪我した組織の治癒が遅れる可能性があります。
・試合間の短時間での回復には不向き
1日に複数試合があるスポーツなど、運動と運動の時間が短い場合には、冷水浴によってパフォーマンスが低下する可能性もあります。
まとめ:冷水浴は「使いどころ」が大切
冷水浴は、疲労回復や筋肉痛の軽減には非常に有効な手段です。ただし、目的やタイミングを間違えると、逆にパフォーマンスの妨げになることも
「筋肉を休ませたいのか、育てたいのか」「次の運動までの時間はどれくらいあるか」など、状況に応じて使い分けるのが、冷水浴・冷水シャワーをうまく取り入れるのがコツです。
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執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 石井 亮多
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック
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