スポーツにおいて、 一瞬の動きが勝敗を分けます。例えば、テニスで考えると、強烈なサーブ、切り返し、スイング動作。これらすべての中心にあるのが、「瞬発力」という身体能力です。 本コラムは、 テニスを例として、瞬発力とはどのようなものなのか、 瞬発力に必要な要素、 瞬発力を上げるために鍛える部位や運動メニューについて紹介していきます。
〇瞬発力とは?瞬発力に必要な要素は?
瞬発力は「短時間で大きな力を発揮する能力」とされています。
この瞬発力を高めるには、以下の 3 つの要素が重要です。
1.最大筋力(特に下半身・体幹)
・下半身は地面を力強く蹴る推進力を生む
・体幹筋が力の伝達・安定・回旋の軸となる
・体幹筋の中で特に腹斜筋はスイング動作やケガ予防にも重要
2.SSC(ストレッチ・ショートニング・サイクル)
・筋肉のバネのような性質
・伸びた直後に素早く縮むことで、爆発的パワーを発揮
・切り返しや踏み込み動作に不可欠
3.神経系の反応速度
・脳の指令がすぐ筋肉に届く能力
・相手より早く反応し、ラリーの主導権を取れる
〇道具なしで1人でできるトレーニング(鍛える部位と運動メニュー)
テニスに必須の瞬発力を高めるためのトレーニングを4つご紹介します。
1.ジャンピングスクワット(下半身の爆発力):
・大腿四頭筋、大殿筋、ハムストリングス、下腿三頭筋の強化。
・足を肩幅に開いてスクワットし、腕の反動を使って真上に爆発的にジャンプ。着地時は衝撃を吸収し、すぐに次のジャンプへ移る。
2.バイシクルクランチ(体幹の回旋力):
・腹斜筋の収縮と回旋力を強化。
・仰向けで両手を頭の後ろに組み、自転車を漕ぐように足を動かしつつ、肘と対角の膝を素早く近づけるように体をひねる。
3.ローテーショナルジャンプ(全身の連動と敏捷性):
・上記 2 つの力を活かした全身運動です。
・両足でジャンプし、空中で体を 90 度回旋させながら着地し素早く同じ動作を繰り返す。
4.低重心反復横跳び(シャッフルステップ強調):
・より低い姿勢でのサイドステップを素早く行うことで即座の動きに対応し、反応速度の向上に繋げる。
※目安:各種目 10 回×3 セット
まとめ
瞬発力はテニスに限らず、多くのスポーツで勝敗を分ける重要な能力です。この力を高めるには、 ①最大筋力の強化(下半身と体幹)と効率的な運動連鎖、②SSC=筋肉のバネの強化、③神経系の反応速度の向上が鍵になります。瞬発力は一般的に20代前半でピークを迎え、徐々に低下すると言われていますが、日々のトレーニングで急激な低下を抑制できます。年齢に関わらず、継続的なトレーニングに取り組んでみましょう!
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執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 石塚 智規
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック
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