子供たちが夢中になって外で遊ぶ姿は、見ているだけで微笑ましいものです。
実はその「遊び」には、体力だけでなく、心や脳の発達に大きく影響する要素が隠されています。本コラムでは、3つの遊びで身につく意外な学びや、発達につながるポイントについて解説していきます。
1. 鬼ごっこ
鬼ごっこは、走る・逃げる・追いかけるという、走ることで体力を身につけるだけでない要素があります。
・相手と自分だけでなく集団を意識する
「鬼」という役割は一人一人と関係を結びながら(鬼と逃げる子)動いていくことで、最終的に集団全体を意識するようになります。
・相手の気持ちを読む力
年齢が上がり、5歳ごろになると、「鬼」は別の「子」を狙うふりをして、近くの「子」を捕まえるという相手の思いの裏をかくような工夫がみられます。これは、他者の意図を読む力、すなわち、心の理論(他者の心の状態を推察する)が関与している可能性があると報告されています。
2. かくれんぼ
かくれんぼは、単なる「隠れる」「探す」行為だけではありません。
・相手の考えていること・相手の視点を理解する力
隠れる役になるときは隠れる、探す役になるときは、ほかの子が隠れる間、隠れる子を覗き見しないようにする、隠れている役の子が、お互いに探す子に隠れている場所をいわないようにするということが必要になります。
友人や敵に対して物を隠す・探す際に、他者の視点を考慮して行動する傾向が示されています。このような行動は、他者の視点を理解する「心の理論」の発達が関与していることを示唆しています。
3. 砂遊び・泥んこ遊び
・多様な五感と学びの宝庫
砂や泥を使った遊びは、五感をフルに使った体験です。さらさらの砂、冷たい泥、水を混ぜる感触―こうした様々な感覚の刺激があります。
アメリカの児童研究の父といわれるスタンレー・ホールは、自分の子どものために砂場を作り、子どもが砂場遊びをしているところを見続け、「砂遊びには、勤勉な努力、見通しをもった運営、道徳、地理、数学などあらゆる教育の要素が含まれている。多様な興味と活動を統合させる砂遊びは理想的である。」という言葉を残しており、様々な教育につながるものだといえます。
まとめ
子どもたちの何気ない遊びには、心と体、そして社会性を育む力がたくさん詰まっています。私たち大人の役割は、そうした遊びが、「自由に、安全に」できる環境を整えてあげることではないでしょうか。
日常の遊びの中にこそ、子どもの成長のヒントがたくさん詰まっています。
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執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 中山 みのり
監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰
池尻大橋せらクリニック
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