スポーツをしていく上で「適切なトレーニング量や質」、「栄養管理」はパフォーマンスを上げるために大切ですが、意外と見落とされがちなのが「睡眠」です。 実は、睡眠こそがパフォーマンスを支える要となります。 本コラムでは、睡眠不足がパフォーマンスに与える影響、適切な睡眠時間、そして睡眠の質を上げるポイントについて解説します。


1. 睡眠不足がパフォーマンスに与える影響

睡眠不足は、疲労感を強くするだけでなく、筋力・瞬発力・持久力の低下を引き起こします。実際、たった1~2時間の睡眠不足でも、運動中の集中力や判断力が鈍り、フォームの乱れや怪我のリスクが2倍になると報告されています(Mingjun Gong et al.2024)。  また、メンタル面でも、情緒の不安定化やストレス耐性の低下が見られ、反応速度や判断力にも悪影響を及ぼします。これが競技中のミスを増やす要因となることも分かっています(Fullagar et al.2015)。

2. 適切な睡眠時間は?

アメリカ睡眠医学会(AASM)と睡眠研究学会(SRS)の共同声明によると、健康な大人に推奨される睡眠時間は7~9時間。 この時間をしっかり確保することが、健康維持やパフォーマンス向上に不可欠です。  特に、強度の高いトレーニングや長時間のプレー後は、疲労回復や筋肉修復のために8時間以上の睡眠が理想的です。逆に6時間以下の睡眠が続くと、疲労が蓄積しやすくなり、筋肉修復も遅れることが示されています(Jonathan Charest et al.2022)。

3. 睡眠の質を上げるためのポイント

時間を確保するだけでなく、「質」も重要です。以下のポイントを意識することで、睡眠の質は大きく改善します。

・ 毎日同じ時間に寝る・起きる(体内リズムを整える)

・ 就寝1~2時間前はスマホやPCを見ない(ブルーライトを避ける)

・ 寝る90分前の入浴(深部体温が下がるタイミングで入眠しやすくする)

 これらは、多くのアスリートも実践している基本的な習慣で、効果があると証明されています(Lucio A. Cunha et al.2023)。

まとめ

いくら練習を積み重ねても、回復が追いつかなければパフォーマンスは伸びません。 スポーツをもっと楽しみ、怪我を防ぎ、長く続けるためには、「質の高い適切な睡眠時間をとる」ことが最もシンプルで効果的なコンディショニングなのです!

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執筆者
池尻大橋せらクリニック 理学療法士 髙橋 遼

監修
池尻大橋せらクリニック 医師 世良 泰

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